日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ブース(William Booth)
ぶーす
William Booth
(1829―1912)
救世軍の創始者。イギリスのノッティンガムに生まれる。13歳で父と死別、質屋で働き、15歳で回心を体験する。諸教派を遍歴したのち、1865年ロンドン東部のスラム街で貧民救済のための伝道を独力で開始した。野外集会、戸別訪問、聖書の販売、聖書講義、禁酒会、夜学、給食などの活動を精力的に展開し、その過程で軍隊風の制度・組織を採用して、1878年救世軍Salvation Armyを名のる。回心体験を重んじ、「救いと聖潔」を教理とし、これを「血と火」という標語にまとめた。礼典を無視したが、禁酒禁煙を含む厳しい生活規律を組織の規範とした。主著は『最暗黒の英国及其(その)救済策』(1890)で、真の救済は品性の改造と境遇の改善との二面よりなると主張した。1907年(明治40)には来日して朝野の歓迎を受けた。
[川又志朗 2018年1月19日]
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