日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
プサン(Louis de La Vallée Poussin)
ぷさん
Louis de La Vallée Poussin
(1869―1938)
ベルギーの仏教学者。パリでシルバン・レビらに、オランダのライデンでケルンにインド学・仏教学を学び、帰国してゲント大学教授となる。のちチベット語・中国語を習得して仏教学研究に専心した。厳密な文献学的方法を用いて、すでにサンスクリット語原典が失われ中国・日本にのみ残る伝統的漢訳資料を解明。とくに『倶舎論(くしゃろん)』『成唯識論(じょうゆいしきろん)』の正確なフランス語訳注は世界の仏教研究の白眉(はくび)とされ、また西洋の仏教学を刺激し発展せしめた。ほかにチャンドラキールティ(月称)の『中論註(ちゅう)』のサンスクリット語テキストの校訂出版などの著書がある。ベルギーにフランス仏教学研究の一大支流としての伝統を植え付け、その弟子ラモットÉtienne Lamotte(1903―1983)を生んだ。赤沼智善(あかぬまちぜん)、宇井伯寿(ういはくじゅ)、山口益(やまぐちすすむ)、宮本正尊(みやもとしょうそん)ら日本の仏教学者とも深い親交があった。
[加藤純章 2017年4月18日]
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