プリンテッド・エレクトロニクス(読み)ぷりんてっどえれくとろにくす(英語表記)printed electronics

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

プリンテッド・エレクトロニクス
ぷりんてっどえれくとろにくす
printed electronics

印刷技術を利用して、電子・電気製品内の各種部品を製造する技術や概念。携帯電話、スマートフォン、コンピュータなどの内部部品や電子ディスプレーなどの大半は、印刷を応用した技術により、大量生産されている。プリンタブルエレクトロニクスともよばれるが、プリント回路基板がprinted circuit boardであることから、プリンテッド・エレクトロニクスとよばれる場合のほうが多い。

 ブラウン管テレビの時代から、また半導体が大量生産される時代から、製品の製造技術には印刷技術が応用されてきた。ブラウン管テレビ(CRTディスプレイ)は、シャドーマスクという金属に開けた微細な多数の穴に電子ビームを通し、それを蛍光体に当てて発光させ画面を映すのであるが、このシャドーマスクは印刷技術を応用してつくる代表的なプリンテッド・エレクトロニクス製品である。液晶テレビやスマートフォンなどのカラー液晶ディスプレーにはカラーフィルターが使われているが、このカラーフィルターにも、印刷製版技術を応用した微細加工技術が用いられている。プリント配線基板には、名前のとおり印刷技術が応用されている。太陽電池パネルの背面にあるバックシートとよばれる機能性フィルムは、印刷を応用したコーティング技術によりつくられている。プリンテッド・エレクトロニクスでの版式(凸版凹版平版孔版)はさまざまなものが用いられているし、電子写真インクジェットによる製造も試みられている。この技術は印刷技術の最大の特長である、大量生産を安価にできるという点を利用している。また、より微細に製造していくことが、プリンテッド・エレクトロニクスの未来への課題になっている。

中村 幹]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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