プレボー(Jean Prévost)(読み)ぷれぼー(英語表記)Jean Prévost

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

プレボー(Jean Prévost)
ぷれぼー
Jean Prévost
(1901―1944)

フランスの批評家、小説家。サン・ピエール・ヌムールに生まれる。高等師範学校(エコール・ノルマル・シュペリュール)卒業後、『NRF(エヌエルエフ)』系の批評家として文壇に登場。知性、内観、祈りを通して、肉体や自然との調和を図り、ひいては魂の本質に迫る探究を試みた(『内観試論』Essai sur l'Introspection1927)。また、伝記的要素にほどよい小説家的想像力を交えた佳作モンテーニュ生涯』La vie de Montaigne(1927)を書く。彼の批評は、作品を構成するテーマを織り合わせ、文学的インスピレーション形成の現場に立ち会うことに成功する(『スタンダールにおける文学的創造』1942、『ボードレール』1953)。

 また、小説の代表作『ブーカンカン兄弟』Les frères Bouquinquant(1930)で、三角関係のもつれを描いて通俗に陥らなかったのは、作者が人間の勇気や誇りに十分な照明を与えたからである。第二次世界大戦中、レジスタンス運動に参加、ドイツ軍に殺された。

[松崎芳隆]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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