日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ヘス(Germain Henri Hess)
へす
Germain Henri Hess
(1802―1850)
スイス生まれの化学者。幼少のとき、一家はロシアに移住し、そこで一生を過ごした。医学を学んで、医者となったが、鉱物の研究によって、ペテルブルグ(ソ連時代のレニングラード)の帝国科学アカデミー会員に選ばれ(1828)、化学の研究に専念するようになった。なかでも親和力の問題を取り上げ、反応熱測定のほうから解決に迫ろうとした。水による硫酸の希釈において発生する熱、および中和の反応熱の測定から、ヘスの法則(熱の総量は、反応が直接進もうと、途中何段階も経過しようと変わらない)を確立した(1840年ころ)。ヘスの研究は、19世紀後半における熱化学の発展の基盤となった。
[吉田 晃]
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