ベスタ(読み)べすた(英語表記)Vesta

翻訳|Vesta

デジタル大辞泉 「ベスタ」の意味・読み・例文・類語

ベスタ(Vesta)

小惑星の一。1807年にドイツオルバースにより発見名称ローマ神話の女神ウェスタに由来し、ガウスにより命名された。直径538キロメートル。軌道長半径は2.4天文単位公転周期は約3.6年。表面玄武岩、鉄とニッケルからなる中心核が存在すると考えられ、地球に似た層構造をもつとされる。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ベスタ」の意味・わかりやすい解説

ベスタ
べすた
Vesta

小惑星の名。1807年3月29日、ドイツのオルバースによって4番目に発見された。軌道長半径2.361天文単位、離心率0.089、軌道傾斜角7.1度で、小惑星帯の内端側に位置している。大きさは直径538キロメートル、密度は1立方センチメートル当り3.3±1.5グラムと推定されている。自転周期は5.342時間、幾何学的アルベド反射能)は0.229で、その表面組成は、玄武岩質エコンドライトという分化した石質隕石(いんせき)と似ている。隕石学者はこの小惑星がエコンドライト隕石の母元体と考えている。

松井孝典


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「ベスタ」の意味・わかりやすい解説

ベスタ
Vesta

小惑星番号4番の小惑星。1807年H.W.M.オルバースが発見,古代ローマの炉の女神ウェスタにちなんで命名。衝の位置にあるときの平均等級は6.8等と小惑星中でもっとも明るい。しかし直径は538kmと推定されており,1番のケレス,2番のパラスよりは小さい。このことからベスタの表面のアルベドを計算すると,ケレスの0.054やパラスの0.074よりもはるかに大きい0.229という値が得られる。軌道半長径2.36天文単位,離心率0.09,軌道傾斜7.1度,変光周期から求めた自転周期は5時間21分である。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ベスタ」の意味・わかりやすい解説

ベスタ
Vesta

小惑星第4号。 1807年ウィルヘルム・オルバースにより発見された。直径 530km。公転周期 3.63年。のときの平均実視等級は 5.7等で小惑星中最も明るく,ときどき肉眼で見える。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディア 「ベスタ」の意味・わかりやすい解説

ベスタ

小惑星番号4番の小惑星。1807年H.W.オルバースが発見。公転周期3.6年,軌道半長径2.36天文単位,直径は538kmと推定されている。名称は古代ローマの火の女神ウェスタにちなむ。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典(旧版)内のベスタの言及

【エコンドライト】より

…この3種の隕石は月よりは小さなある小惑星の表層が46億年前溶融分化してできた原始的な地殻より導かれたものとされている。小惑星ベスタの表面がこの種の隕石類似の物質よりできていることが,その反射スペクトルの研究からわかっている。シャーゴッタイトはピジョン輝石とマスケリナイト化した斜長石よりなる。…

【オルバース】より

…これはオルバースのパラドックスと呼ばれ,近代の宇宙論的思考の発端となった。 オルバースは小惑星の発見にも意欲的で,1802年1月2日に第1号ケレスを再発見し,同年3月28日に第2号パラスを,07年3月29日には第4号ベスタを発見した。これらの小惑星が類似の軌道をもつことから,一つの惑星の爆発による小惑星起源説を提唱した。…

※「ベスタ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android