ベニガオザル(読み)べにがおざる(英語表記)stump-tailed macaque

改訂新版 世界大百科事典 「ベニガオザル」の意味・わかりやすい解説

ベニガオザル (紅顔猿)
Macaca arctoides(=M. speciosa

赤い顔にあばた状の斑をもつ醜い霊長目オナガザル科の旧世界ザル。英名は尾が切株のように短いところからstump-tailed monkey。中国南部からインドシナ半島ミャンマー,アッサム地方に広く分布する。ずんぐりした体つきで,体毛は茶褐色ないし灰褐色。肩の毛がよく発達している。顔は発情時や興奮時にはより赤みを増し,寒いときには青みを帯びる。体格ニホンザルよりやや小さい程度。赤ん坊の顔は青白くて全身白色ないし淡黄色の毛に覆われている。半樹上・半地上生活者で,植物食を主にした雑食性らしい。放飼いにした例では40~50頭の複雄群を形成し,ニホンザルとよく似た社会をつくって生活している。おとなの雄が幼い子ども,とくに雄の子どもの世話をよくすると報告されている。人間になれやすく耐寒性に優れているので飼育は容易である。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ベニガオザル」の意味・わかりやすい解説

ベニガオザル
べにがおざる / 紅顔猿
stump-tailed macaque
[学] Macaca arctoides

哺乳(ほにゅう)綱霊長目オナガザル科の動物揚子江(ようすこう)以南、アッサム地方以東の大陸部とインドシナ半島に分布する。体長60~70センチメートルで四肢は短く、ずんぐりとした体格をもつ。尾は約10センチメートルと短い。体毛は赤褐色、顔はくすんだ赤で、黒い斑点(はんてん)がある。ただし新生子は全身白い。地上性の傾向が強く、植物食を中心とする雑食性で、かなり大型の複雄群をつくるといわれる。

[川中健二]

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