日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ベネット(Enoch Arnold Bennett)
べねっと
Enoch Arnold Bennett
(1867―1931)
イギリスの小説家。スタッフォードシャーの生まれ。事務弁護士の父のもとで法律を勉強するが、ロンドンに出て、女性雑誌の編集者を経て、小説、書評、劇作など幅広い著作活動に入った。フランス自然主義やG・ムーアの影響を受けた第一作『北部出身の男』(1898)を発表。1902年から9年間パリに滞在して、フランス人と結婚したが、のち別居。『五つの町のアン』(1902)から、故郷の陶器製造の工業都市を舞台に中産階級の生活をアイロニーと同情を込めて描き、『老妻物語』(1908)、『クレイ・ハンガー』(1910)、『ヒルダ・レスウェイズ』(1911)、『双子』(1916)などを出した。人物の外的要因を細部にわたって描く彼の手法は、内面の意識を重視するV・ウルフに批判されたが、第二次世界大戦後には再評価される動きも出ている。
[安達美代子]
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