ベラスコイバラ(英語表記)José María Velasco Ibarra

改訂新版 世界大百科事典 「ベラスコイバラ」の意味・わかりやすい解説

ベラスコ・イバラ
José María Velasco Ibarra
生没年:1893-1979

エクアドルの政治家。キトに生まれ,弁護士,大学教授を経て1934年に保守党より大統領選に立候補して当選,以後68年まで5回にわたり同国大統領に就任したが,任期を満了したのは1期のみである。初めて大統領となった翌1935年には早くも軍事クーデタで失脚,新たに民主同盟を創設し共産党社会党と協調して勢力を固め,44年には自由党アロヨ政権を打倒した後再選され,カウディーリョ政治家としての自信を深めた。熱弁家で〈我にバルコニーを与えよ,しからば統治せん〉の名文句大衆をひきつけ,52年に3選された。保守的政策をとりながら,反米・親キューバ路線を提唱するなど反対派の政治綱領を先取りし人気を獲得したが,60年の4選時には自由党出身の副大統領アロセメナに政権を奪回され亡命。その後数年にわたる軍政時代を経て68年民政移管後初の大統領選挙で5たび政権の座に返り咲いたが,2年後の軍事クーデタで再び失脚,人生の大半を亡命先のアルゼンチンで送った。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のベラスコイバラの言及

【エクアドル】より

…自由党の支配は終わり,山地の保守勢力が再び台頭した。 44年に始まったベラスコ・イバラ大統領による28年間に及ぶ長期政権時代には,労働組合,学生などを中心とする左派の反政府運動が強まり,61年国外亡命を余儀なくされた。この間に制定された新憲法下の大統領選挙でベラスコは勝利し,いっそう独裁色を強めた。…

※「ベラスコイバラ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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