ベリー(Pierre Véry)(読み)べりー(英語表記)Pierre Véry

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ベリー(Pierre Véry)
べりー
Pierre Véry
(1900―1960)

フランスの推理小説家。少年時代から冒険心が強く、一方、ランボーベルレーヌ、マラルメらの詩を耽読(たんどく)する文学好きでもあった。22歳のころ、親友とインドでぶどう酒を売る計画をたてたが、結局1人で貨物船の炊事夫となって北アフリカ、スペイン方面に旅する青春を送った。こうした冒険と夢と友情が作品に深く影響し、それらは代表作の一つ『サンタクロース殺人事件』(1934)では、修道院廃墟(はいきょ)の地下や地下道の迷路の中に宝物を捜す人物や、物語の舞台であるおとぎの国めいた町などによって示され、事件の謎(なぞ)を、日常の現実を突き抜けた場所に求めるところにも現れている。主要作品は、プロスペル・ルピック探偵を主人公とする約30編の長編探偵小説群(『サンタクロースの反抗』1959。『バジール・クルックスの遺言』Le testament de Basil Crooks1930、冒険小説大賞受賞など)であるが、そのほかにクリスチャン・ジャック監督の映画『パルムの僧院』(1947)のシナリオなど、映画関係の仕事も多く残した。

[榊原晃三]

『村上光彦訳『サンタクロース殺人事件』(1975・晶文社)』『村上光彦訳『サンタクロースの反乱』(1979・晶文社)』

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