日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ベロー(Georg von Below)
べろー
Georg von Below
(1858―1927)
ドイツの歴史家。とくに中世経済史、中世法制史の権威であり、史学方法論においても著名である。ユンカーの子としてケーニヒスベルク(現ロシア領カリーニングラード)に生まれる。同地の大学を経て、ボン、ベルリン大学に学び、1889年マールブルク大学の講師となり、以後ケーニヒスベルク、チュービンゲン、ミュンスター、フライブルクの各大学の教授を歴任した。法制史家としては、中世国家の本質に関する荘園(しょうえん)法説を批判し、中世国家の公的な国家性を強調する未完の名著『ドイツ中世国家論』(1914)を著した。また、農業史研究と荘園法説批判の論文を含む『領邦と国家』(1900)によって経済史家としての地位を確立し、経済史研究の方法としては、K・ビュッヒャー、K・G・ランプレヒトなどの発展段階説や自然科学的実証主義に対して、個性的、歴史的方法を主張した。1907年の創刊以来『社会経済史季報』の編集に参加し、また第一次世界大戦中とワイマール共和国の政治に対し、保守主義の立場から多くの発言をした。主著にはほかに『ドイツ史学史』(1916)、『経済史の諸問題』(1920)、『ドイツ中世農業史』(1927)などがある。
[根本久雄]
『堀米庸三訳『ドイツ中世農業史』(1955・創文社)』