ベンゾジアゼピン酸系催眠鎮静剤(読み)ベンゾジアゼピンケイサイミンチンセイザイ

病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版 の解説

ベンゾジアゼピン酸系催眠鎮静剤

製品名
【ベンゾジアゼピン系催眠鎮静剤】
《エスタゾラム製剤》
エスタゾラム(共和薬品工業、日医工)
ユーロジン(武田薬品工業、武田テバ薬品)
《クアゼパム製剤》
クアゼパム(共和薬品工業、東和薬品、日医工、日新製薬、Meiji Seika ファルマ、陽進堂、沢井製薬、日本ジェネリック)
ドラール(久光製薬)
《トリアゾラム製剤》
トリアゾラム(武田テバファーマ、武田薬品工業、サンノーバ、エルメッド、小林化工、大興製薬、辰巳化学、長生堂製薬、日医工、日本ジェネリック、日新製薬、富士フイルムファーマ)
ハルシオンファイザー
ハルラック(富士薬品、共和薬品工業)
《ニトラゼパム製剤》
ニトラゼパム(コーアイセイ、辰巳化学、鶴原製薬、武田テバファーマ、武田薬品工業、東和薬品、日本ジェネリック)
ネルボン(第一三共)
ベンザリン(塩野義製薬、共和薬品工業)
《ハロキサゾラム製剤》
ソメリン(第一三共)
《フルニトラゼパム製剤》
サイレース(エーザイ
フルニトラゼパム(共和薬品工業、日本ジェネリック、辰巳化学)
《フルラゼパム塩酸塩製剤》
ダルメート(共和薬品工業)
《ブロチゾラム製剤》
グッドミン(田辺三菱製薬、吉富薬品)
ノクスタール(アルフレッサファーマ)
ブロチゾラム(陽進堂、武田テバファーマ、武田薬品工業、長生堂製薬、大興製薬、日本ジェネリック、共和薬品工業、大原薬品工業、メディサ新薬、沢井製薬、東和薬品、第一三共エスファ、第一三共、日新製薬、日医工、ニプロ、田辺三菱製薬、吉富薬品、辰巳化学、富士フイルムファーマ)
ブロチゾラムM(サンノーバ、エルメッド)
ブロチゾラムOD(大興製薬、武田テバファーマ、武田薬品工業、日本ジェネリック、メディサ新薬、沢井製薬、共和薬品工業)
レンドルミン(日本ベーリンガーインゲルハイム)
レンドルミンD(日本ベーリンガーインゲルハイム)
《リルマザホン塩酸塩水和物製剤》
塩酸リルマザホン(小林化工、Meiji Seika ファルマ)
リスミー(共和薬品工業)
《ロルメタゼパム製剤》
エバミール(バイエル薬品
ロラメット(あすか製薬、武田薬品工業)

 中枢神経に作用して、眠りに導く催眠鎮静剤です。眠りに導く作用はバルビツール酸系催眠鎮静剤に比べると弱いのですが、脳に直接作用するものではないので、呼吸器などの重大な副作用が少ない薬です。


 不眠症の治療のほか麻酔の際の補助薬として使うこともあります。


 ベンゾジアゼピン系催眠鎮静剤は、自然な入眠効果を発揮し、副作用の少ない安全性の高い薬で、睡眠剤の中でもよく使用されています。ニトラゼパム製剤は、筋弛緩作用もあるので、てんかんの治療にも使用されます。


 トリアゾラム製剤は、催眠剤のなかでも効果発現が最も早い超短時間型に分類され、また効果も強めであるため入眠障害(寝付けないなど)に用いられます。


 ブロチゾラム製剤ロルメタゼパム製剤リルマザホン塩酸塩製剤は、短時間型に分類されており、即効性がありながらも作用時間が比較的短いため翌日に効果が残らず、バランスのとれた催眠剤です。


 ニトラゼパム製剤フルニトラゼパム製剤エスタゾラム製剤は、中時間型に分類され、作用の持続力が長く、中途覚醒や早期覚醒に用いられます。


 クアゼパム製剤フルラゼパム製剤ハロキサゾラム製剤は、長時間型に分類され、長く効き続けますが、速効性はあまりありません。中途覚醒に対して、ほかの催眠剤では効果が短い場合に検討されます。


①過敏症状(発疹ほっしん発熱、かゆみなど)、依存性、離脱症状などがおこることがあります。


 また、トリアゾラム製剤リルマザホン塩酸塩製剤フルニトラゼパム製剤クアゼパム製剤で、一過性前向性健忘(中途覚醒時の出来事を記憶していないこと)、もうろう状態、刺激興奮や錯乱などの精神症状が、ロルメタゼパム製剤リルマザホン塩酸塩製剤ニトラゼパム製剤フルニトラゼパム製剤クアゼパム製剤フルラゼパム製剤ハロキサゾラム製剤で、呼吸抑制、炭酸ガスナルコーシスなどがおこることがあります。


 エスタゾラム製剤では、無顆粒球症を、ブロチゾラム製剤トリアゾラム製剤ニトラゼパム製剤フルニトラゼパム製剤では、肝機能障害、黄疸を、フルニトラゼパム製剤では、横紋筋融解症(筋肉痛、脱力感など)、悪性症候群高熱振戦、意識障害など)などをおこすことがあります。


 このような症状がおこったときは使用を止め、すぐ医師に相談してください。


②ふらつき、手足のしびれ、けいれん、頭痛、頭重感、めまい、不安、興奮などの精神神経症状、食欲不振、口やのどの渇き、吐き気嘔吐おうと、下痢、腹痛、便秘などの消化器症状、動悸どうき、胸の圧迫感、血圧の低下などの循環器症状、倦怠感けんたいかん(だるさ)、力が入らないといった筋緊張低下症状、むくみ・夜尿・頻尿などをおこすことがあります。


 このような症状がおこったときは、医師に相談してください。


③肝障害(黄疸おうだんなど)、じん障害、血液障害などがおこることがあります。医師から指示された検査は必ず受けてください。


①いろいろな剤型がありますが、内服剤は就寝前に十分な水(コップ1杯以上の水)で服用してください。服用回数と服用時間・服用量については医師の指示を守ってください。


 クアゼパム製剤では、食事により薬効成分の吸収が増大するので、食後の服用は避けてください。また、服用して就寝した後、睡眠途中において一時的に起床して仕事などをする可能性があるときは服用しないでください。


②問診の際にあらかじめ、持病・アレルギーなどの体質・現在使用中の薬の有無を医師に報告するとともに、使用前に薬の効果と副作用について医師・薬剤師からよく説明を聞き、注意事項をきちんと守ってください。


 急性閉塞隅角緑内障きゅうせいへいそくぐうかくりょくないしょう、重症筋無力症の人、さらにクアゼパム製剤では睡眠時無呼吸症候群の人には、この薬を使用できないことがあります。


 また、肺性心・肺気腫はいきしゅ・気管支喘息ぜんそくなどで呼吸機能がひどく低下している人、心臓疾患・肝障害・腎障害がある人、脳血管障害の急性期の人、統合失調症などの精神疾患のある人は、医師に報告してください。


③妊婦、現在妊娠している可能性のある人、母乳で授乳中の人はあらかじめ医師に伝えてください。


④連用すると、薬を使わないと眠れなくなることがあります(精神的な薬物依存)。薬の使用はできるだけ短期間にとどめ、薬を使わないで眠るように努力してください。


⑤大量に連用していて、急に使用をやめると、けいれん・せんもう(妄想・幻覚が出て騒ぐ)・振戦しんせん(手の震え)・不眠・不安・幻覚・妄想など離脱症状が現れます。


 医師は徐々に使用量を減らしていって中止する方法をとるはずですから、医師の許可が出るまで続けてください。


⑥ふらつき・めまいがおこったり、効果が翌日まで持ちこされて昼間眠くなることがあります。服用後にもうろう状態や中途覚醒時のできごとを記憶していないことがあるため、自動車運転や危険を伴う作業は避けてください。


⑦現在ほかの薬を使っていたり、ほかの薬を併用する必要が生じたときは、必ず医師に相談してください。薬によっては、HIV感染症治療剤フェノチアジン系抗精神病剤バルビツール酸系催眠鎮静剤などの中枢神経抑制剤、シメチジン製剤イトラコナゾール製剤フルコナゾール製剤などと併用すると、副作用がおこりやすくなります。


⑧飲酒によって、薬が効きすぎて副作用や離脱症状がおこりやすくなります。服用中は禁酒を守ってください。

出典 病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版について 情報

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