ベンゾニトリル(英語表記)benzonitrile

改訂新版 世界大百科事典 「ベンゾニトリル」の意味・わかりやすい解説

ベンゾニトリル
benzonitrile


ベンズアルデヒドのような臭いをもつ無色液体。融点-13.2℃,沸点191.1℃。水に対する溶解度は100℃で1%。アルコールエーテルとは任意の割合混合アニリンジアゾ化して,シアン化銅(Ⅰ)を作用させると得られる(ザントマイヤー反応)。

加水分解すると安息香酸になる。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

化学辞典 第2版 「ベンゾニトリル」の解説

ベンゾニトリル
ベンゾニトリル
benzonitril

phenyl cyanide.C7H5N(103.12).C6H5CN.シアン化フェニルともいう.安息香酸のアンモニウム塩あるいはアミド脱水すると得られる.工業的には,トルエンアンモニアと空気で接触酸化するアンモ酸化法で製造される.液体.融点-12 ℃,沸点191 ℃,69 ℃(1.3 kPa).1.010.1.5289.エタノール,エーテル,ベンゼンに易溶.加水分解すればベンズアミドを経て安息香酸に,還元すればベンジルアミンになり,濃硫酸で重合させればトリアジン環を形成する.めっき溶媒,酸化防止用の溶剤として用いられる.また合成樹脂染料,医薬品などの中間体である.[CAS 100-47-0]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ベンゾニトリル」の意味・わかりやすい解説

ベンゾニトリル
べんぞにとりる
benzonitrile

芳香族シアン化物の一つ。ベンゼンの水素原子1個をシアノ基に置換したもの。シアノベンゼン、シアン化フェニルともいう。甘い香りの無色の液体。水に難溶、有機溶媒に可溶。安息香酸とアンモニアを気相で高温のアルミナ触媒上で反応させて製造する。ベンズアルドキシムの脱水でも得られる。還元すればベンジルアミンを与え、加水分解すれば安息香酸を生じる。溶剤、プラスチック原料、建染め染料の合成原料などに用いられる。

[加治有恒]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android