日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ベンダー(Hans Bender)
べんだー
Hans Bender
(1919―2015)
ドイツの小説家、詩人、編集者。ミュールハウゼン生まれ。文学史、芸術史の学業なかばにして第二次世界大戦に出征。以後5年間の従軍ののちさらに1949年までソ連の捕虜収容所で抑留生活。帰国後学業に復帰する。作家としては処女長編小説『愛という要件』(1954)で戦後の混乱期の青少年の姿、とくに性の混乱を活写、また短編集『狼(おおかみ)と鳩(はと)』(1957)、『渇望の食』(1959)などでは捕虜生活の体験を簡潔で平明な筆致で描いた。ほかに『郵便船で』(1962)などがある。
一方、1954~1980年、詩人で批評家ワルター・ヘレラーとともに文学雑誌『アクツェンテ』を編集。またケルンの雑誌『マグヌム』その他新聞の文芸欄の編集に携わるほか、多くのアンソロジーを編むなど、若い詩人の才能発掘に多く貢献した。
[青木順三]
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