ベートソン(William Bateson)(読み)べーとそん(英語表記)William Bateson

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ベートソン(William Bateson)
べーとそん
William Bateson
(1861―1926)

イギリスの遺伝学者。ヨークシャー州ホイットビーに生まれる。ケンブリッジ大学卒業。卒業後3年の間にギボシムシの発生に関する研究を完成、その間二度アメリカに渡った。その後、中央アジアやエジプト、ヨーロッパ大陸に旅行し、1894年『変異研究資料』の大著を公刊し、この功によりFRS(Fellow of the Royal Society、王立協会会員)に推挙された。1895年ケンブリッジ大学に新設された遺伝学講座の最初の教授に就任したが、わずか2年後、その地位弟子のパネットReginald Crundall Punnet(1875―1967)に譲り、新設のジョン・インネス園芸研究所の所長となった。遺伝学上の業績のおもなものとしては、メンデル法則が多数の動植物においても真実なことを立証したこと、当時は複雑難解とされた多くの遺伝現象を在不在説により明快に説明したこと、伴性遺伝の理論的解釈、相引および相反現象の発見、体細胞分離の研究などがある。パネットとともに私財をなげうって、世界一流の遺伝学雑誌『Journal of Genetics』を創刊経営した。今日普通に使われている遺伝学の術語には彼の提唱によるものが多い。

田島弥太郎

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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