ホイットニー(Eli Whitney)(読み)ほいっとにー(英語表記)Eli Whitney

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ホイットニー(Eli Whitney)
ほいっとにー
Eli Whitney
(1765―1825)

綿繰機(わたくりき)の発明で知られるアメリカの機械技術者。アメリカ機械工業勃興(ぼっこう)期に互換性部品による大量生産方式を確立するなど経営面でも才能を発揮した。マサチューセッツ州農場で生まれ、エール大学卒業後1792年ジョージア州サバナへ行き、独立戦争のグリーンNathanael Greene(1742―1786)将軍の未亡人Catharine Greene(1755―1814)の示唆により、綿実から繊維を分離する機械の開発を思い立つ。木製円筒に針を植えた模型を数週間で完成し、1794年に特許をとったが、発効以前に盗用されて発明による利益は得られなかった。しかしこの綿繰機によって綿繰り能力は従来の50倍(のち300倍に改良)にも増大した。また、それまでは西インド諸島産の海島綿しか綿繰りに向かなかったが、綿繰機の発明で大陸産の綿実も使用できるようになり、アメリカ南部の綿作隆盛を招いた意義は大きい。1798年政府とマスケット銃1万挺(ちょう)を2年間で製作する契約を結び、個々の部品を別々につくって組み立てる互換性方式を採用する。そのためにジグ治具)やフライス盤などの新しい工作機械を採用するなど、以後の機械工業生産の基礎を確立する画期的業績を残した。

篠原 昭]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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