ホウ砂球試験(読み)ほうしゃきゅうしけん(英語表記)borax bead test

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ホウ砂球試験」の意味・わかりやすい解説

ホウ砂球試験
ほうしゃきゅうしけん
borax bead test

溶球試験の一つで、金属塩類の定性分析を行う際の予備試験として利用される。まずガラス棒の先端につけた白金線の先を曲げて小環をつくり、この部分にホウ砂Na2B4O7・10H2Oをつけてバーナーの炎で350~400℃に熱すると、ホウ砂は結晶水を失い、さらに強熱すると878℃で融解する。これを冷却すると環の中で無色ガラス状の小塊(ホウ砂球)となる。これに試料の金属塩類をつけて酸化炎あるいは還元炎でふたたび加熱融解すると、ホウ砂球は金属元素に特有な色に着色する。この色を判定することによって金属元素の定性分析ができる。酸化炎で加熱融解する場合、多くの金属は酸化物(二価金属イオンの場合)となり、さらにメタホウ酸塩を生じる。還元炎の場合は、金属は酸化数の低い状態あるいは単体まで還元されて元素特有の色を呈する。

[成澤芳男]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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