ホスホタングステン酸(塩)(読み)ホスホタングステンサンエン

化学辞典 第2版 の解説

ホスホタングステン酸(塩)
ホスホタングステンサンエン
phosphotungstic acid(phosphotungstate)

リンをヘテロ原子とするタングステンヘテロポリ酸(塩)(慣用名).タングストリン酸(塩)(学術用語方式),リンタングステン酸(塩)(通俗名)ともいう.M3[PW12O40]・nH2O(およびその酸)ホスホ十二タングステン酸(塩)(IUPAC半体系的慣用名)(phosphododecatungstate,phosphododecatungstic acid)が代表的である.遊離酸H3[PW12O40]・6H2Oは,固体も得られている.アルカロイド検出などに用いられる.塩は各種の金属のものが得られている.Na3[PW12O40]・nH2O(nは普通15か21.11のものもある)は,Na2WO4-NaH2PO4水溶液を濃縮後,HClを加えて加熱すると得られる.Na塩水溶液を H 型イオン交換樹脂カラムに通すと遊離酸が得られる.[PW12O40]3- はWO6のつくる正四面体型ケージの中心にPO4正四面体が位置するケギン構造α型である.アルカリ金属塩は,無色結晶.水に易溶,アルカロイドなどの有機塩基と水に不溶,有機溶媒に可溶.沈殿をつくるので,これらの分析に用いられる.また,マラカイトグリーンなどの有機染料とともにレーキ顔料もつくられる.織物静電防止剤,めっき用添加剤,鋼表面の不動態化などに用いられる.[CAS 1343-93-7:酸][CAS 51312-42-6:Na塩]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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