ホソガ(読み)ほそが

改訂新版 世界大百科事典 「ホソガ」の意味・わかりやすい解説

ホソガ (細蛾)

鱗翅目ホソガ科Gracillariidaeの昆虫総称。翅の開張4~17mmの小型のガばかりを含む科で,ほとんど世界中に分布している。日本には150種あまり知られている。翅はきわめて細長く,ことに後翅はひものように細い。前翅の外縁から後縁,後翅の後縁には,翅の幅より長い縁毛が生えている。触角は糸状で,前翅の長さくらいある。前翅の色彩や斑紋の美しい種が多く,金属光沢に輝く種も少なくない。幼虫大部分が潜葉性だが,茎や枝,果実の皮下に潜ったり,虫こぶをつくるものもある。初齢のころに潜っても,齢が進むと穴から出て,葉縁を折り曲げたり円錐形に巻いたりする種もある。一般には,1齢から2~3齢までは扁平で脚がなく,口器は吸液型だが,3~4齢以降は円筒型で有脚に変わり,口器も組織を食べる型になる。小型で幼虫の食餌も少量ではあるが,多発すると樹木の害虫とされることがある。チャノハマキホソガCaloptilia theivoraチャツバキの重要害虫である。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ホソガ」の意味・わかりやすい解説

ホソガ
ほそが / 細蛾

昆虫綱鱗翅(りんし)目ホソガ科Gracillariidaeの総称。はねの開張17ミリメートル以内の小形種ばかりを含む科で、はねはきわめて細長く、後翅は披針(ひしん)形で、長い縁毛が生えている。前翅表面は、美しい色彩であったり、はでな斑紋(はんもん)をもつ種が多い。ほとんど全世界に分布し、日本からは160種余りが知られている。幼虫は大部分が潜葉性であるが、一部は茎、枝、果実の皮下に潜って食べる。葉に孔道を掘って食べ進むと、内部の組織がなくなり、葉に独特の模様ができる。チャノサンカクハマキの名で知られているチャノハマキホソガは、チャ、ツバキ、サザンカなどに寄生し、茶樹の重要害虫であり、クルミホソガは栽培クルミに被害を与えることがある。

[井上 寛]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ホソガ」の意味・わかりやすい解説

ホソガ
Gracillariidae

鱗翅目ホソガ科の昆虫の総称。ホソガ (細蛾) の名のとおり体も翅も細く,前翅開張幅 10mm以下の微小なガ。前・後翅の後縁に長毛をもち,特に後翅で著しい。前翅は暗色の地に明るい黄色紋などをもつ。若い幼虫は脚がなく,一般に葉,樹皮,果実などにもぐり吸汁する。幼虫は成育すると脚が出て円筒形になり,植物組織を食べ,また葉を出て葉縁を巻いたり,葉先を円錐形に巻いたりする。世界に広く分布し,日本からは 100種以上が記録されており,幼虫がナシの枝の皮下にもぐるナシカワホソガ Spulerina astaurataやチャの新葉に三角葉巻をつくるチャノハマキホソガ Caloptilia theivoraなど,害虫になるものも少数ながら知られる。

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