ホルバート(Ödön von Horváth)(読み)ほるばーと(英語表記)Ödön von Horváth

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ホルバート(Ödön von Horváth)
ほるばーと
Ödön von Horváth
(1901―1938)

ハンガリー系オーストリア劇作家フィウーメ生まれ。1933年以降ナチスによって執筆を禁じられ、オーストリアからパリ亡命、事故で死んだ。父はオーストリア・ハンガリー帝国の外交官で10回近くも任地を転々。これはホルバートに故郷喪失の根なし草的な、だがその反面では広い国際的視野を備えたコスモポリタンの運命を与えた。加えて第一次世界大戦の体験を基に、彼は激動する1920~30年代のドイツの時代現象を、当時の現実から落ちこぼれた市民層の多数の男女の言動、その意識と意識下のものとの複雑微妙な絡まりを通して巧みな会話体に構成、新しい形の大衆演劇をつくりだした。代表作に『ガーデン・パーティーの夕べ』(1930)、『ウィーンの森の物語』(1931)、小説に『永遠の俗物』(1930)がある。

[棗田光行]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android