日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ホール(Granville Stanley Hall)
ほーる
Granville Stanley Hall
(1844―1924)
アメリカの心理学者。マサチューセッツ州に生まれる。ウィリアムズ・カレッジに学ぶ。初め宗教や哲学に関心をもってドイツに留学したが、帰国後、W・ブントの『生理学的心理学原論』を読んで感動し、ハーバード大学のW・ジェームズのもとで心理学の研究で博士号をとった。その後再度ドイツに留学、ブントの最初のアメリカ人の学生となった。帰国後のホールは、二つの大学に心理学実験室をつくったこと、『American Journal of Psychology』など4種の心理学雑誌を創刊したこと、アメリカ心理学会を発足させたこと、クラーク大学の初代学長となり、フロイトおよびユングらを招いて精神分析がアメリカに導入されるきっかけをつくったこと、児童期・青年期・老年期の研究に先鞭(せんべん)をつけたこと、宗教心理学の研究を始めたことなどで、草創期のアメリカ心理学界に対して組織および研究の両面で大きく貢献した。日本にアカデミックな心理学が成立する土台を築いた元良勇次郎(もとらゆうじろう)は、ホールに学びホールと共同研究をした人である。
[宇津木保]
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