精選版 日本国語大辞典 「ボア」の意味・読み・例文・類語
ボア
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翻訳|boa
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ボア科ボア亜科Boinaeに含まれる無毒ヘビの総称で,ニシキヘビ類(ボア科)に近縁の一群。約8属25種が知られ,大部分が南北アメリカに分布するが,マダガスカルボア属Acrantophis2種とサンジニアボア属Sanzinia1種がマダガスカルに,パシフィックボア属Candoiaの3種がニューギニアと南太平洋の諸島に分布している。最大はアマゾン流域に分布するアナコンダEunectes murinusで,最大全長が9mを超える。最小は全長約60cmのパシフィックボアで,他は全長2~4m。ボア類は頭骨の構造の違いや卵胎生である点などでニシキヘビ類と分けられるが,尾下板も1列で上唇板にはピット(頰窩(きようか))を欠く。
一般に知られるのは,単にボアとも呼ばれるボア属BoaのボアコンストリクターB.constrictorで,メキシコからアルゼンチン北部まで広く分布する。この属名は大プリニウスの《博物誌》にすでに見える大ヘビを意味することばBoaeにちなむ。全長3~4m,最大5.5mに達し,頭部は小さいが胴が太い。頭部から尾部にかけて体背面は細鱗で覆われ,美しい斑紋をもつ。熱帯降雨林やサバンナにすみ人間の居住区付近にも出没するが,幼体を除けば性質はおとなしく人にも慣れるので,ペットとして人気がある。鳥,トカゲ,小哺乳類などの獲物を樹上または地上で待ち伏せし,鋭い歯でとらえる。胴で締める力が強い。卵胎生で一度に20~60匹ほどの子ヘビを生む。
南アメリカ北部に分布する美しい緑色のエメラルドボアCorallus caninusは,全長約2m,樹上生でふつうは枝に胴を前後に振り分けて止まり,頭をその中央に置いている。体色斑紋や静止姿勢は効率的なカムフラージュとなり,近づく鳥やトカゲをとらえるが,本種に形態,生態ともにそっくりの種がニシキヘビ亜科にいる。それはニューギニア産グリーンパイソンChondropython viridisで,系統も産地も異なる2種が類似性を示す平行進化の例として知られる。コスタリカからアルゼンチンに分布するニジボアEpicrates cenchrisの体鱗は滑らかで,太陽に当たると斑紋が虹のように輝く。
執筆者:松井 孝爾
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