ボア(英語表記)boa

翻訳|boa

精選版 日本国語大辞典 「ボア」の意味・読み・例文・類語

ボア

〘名〙 (boa)
① ボア科の無毒のヘビ、ボアコンストリクターのこと。最大で全長三・六メートルぐらいで、ニシキヘビより小さい。背面淡褐色の地に一五~二〇の暗褐色横縞があり、側面では大形の斑の列をなす。南アメリカの熱帯森林に分布し、夜行性でネズミなどを捕食する。王蛇(おうじゃ)
② 毛皮や羽毛などで作った細長い婦人用襟(えり)巻。また、コートなどの衿や裏、袖口などにつけたり、敷布などに用いる、毛皮やそれに似せた織物
三四郎(1908)〈夏目漱石〉四「駝鳥襟巻(ボーア)に似てゐるでせう」

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デジタル大辞泉 「ボア」の意味・読み・例文・類語

ボア(boa)

有鱗ゆうりん目ボア科の蛇。全長約4メートル。無毒。胴は太く、灰褐色に暗褐色の斑紋がある。卵胎生。熱帯アメリカに分布。同科にはアナコンダなども含まれ、主に熱帯に分布。
毛皮や羽毛で作った、女性用の柔らかい襟巻き。また、コートの裏や襟・袖口につけたり、敷布などに使う毛足の長い織物。

ボア(bore)

海嘯かいしょう2

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改訂新版 世界大百科事典 「ボア」の意味・わかりやすい解説

ボア
boa

ボア科ボア亜科Boinaeに含まれる無毒ヘビの総称で,ニシキヘビ類(ボア科)に近縁一群。約8属25種が知られ,大部分が南北アメリカに分布するが,マダガスカルボア属Acrantophis2種とサンジニアボア属Sanzinia1種がマダガスカルに,パシフィックボアCandoiaの3種がニューギニアと南太平洋の諸島に分布している。最大はアマゾン流域に分布するアナコンダEunectes murinusで,最大全長が9mを超える。最小は全長約60cmのパシフィックボアで,他は全長2~4m。ボア類は頭骨の構造の違いや卵胎生である点などでニシキヘビ類と分けられるが,尾下板も1列で上唇板にはピット頰窩(きようか))を欠く。

 一般に知られるのは,単にボアとも呼ばれるボア属BoaのボアコンストリクターB.constrictorで,メキシコからアルゼンチン北部まで広く分布する。この属名は大プリニウスの《博物誌》にすでに見える大ヘビを意味することばBoaeにちなむ。全長3~4m,最大5.5mに達し,頭部は小さいが胴が太い。頭部から尾部にかけて体背面は細鱗で覆われ,美しい斑紋をもつ。熱帯降雨林やサバンナにすみ人間の居住区付近にも出没するが,幼体を除けば性質はおとなしく人にも慣れるので,ペットとして人気がある。鳥,トカゲ,小哺乳類などの獲物を樹上または地上で待ち伏せし,鋭い歯でとらえる。胴で締める力が強い。卵胎生で一度に20~60匹ほどの子ヘビを生む。

 南アメリカ北部に分布する美しい緑色のエメラルドボアCorallus caninusは,全長約2m,樹上生でふつうは枝に胴を前後に振り分けて止まり,頭をその中央に置いている。体色斑紋や静止姿勢は効率的なカムフラージュとなり,近づく鳥やトカゲをとらえるが,本種に形態,生態ともにそっくりの種がニシキヘビ亜科にいる。それはニューギニア産グリーンパイソンChondropython viridisで,系統も産地も異なる2種が類似性を示す平行進化の例として知られる。コスタリカからアルゼンチンに分布するニジボアEpicrates cenchrisの体鱗は滑らかで,太陽に当たると斑紋が虹のように輝く。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ボア」の意味・わかりやすい解説

ボア
Boinae; boa

トカゲ目ニシキヘビ科ボア亜科に属するヘビの総称。大型で,一部のものを除き腰帯と後肢の痕跡がある。前上顎には歯がない。無毒。ボアの仲間には最大体長 5m以上のボア Boa constrictor,体長 2m内外で巧みに木の枝に止るエメラルドボア B. caninaアミメニシキヘビ (ニシキヘビ亜科) とともに世界最大といわれるアナコンダなどの種が知られており,多くは中央・南アメリカに分布する。 (→ニシキヘビ )  

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百科事典マイペディア 「ボア」の意味・わかりやすい解説

ボア

爬虫(はちゅう)類ボア科ボア亜科に含まれるヘビの総称。一般に知られるのは,単にボアとも呼ばれるボアコンストリクターで,全長4〜5m,長さのわりに太い。暗褐色地に淡褐色の斑紋がある。無毒で性質は温和。ブラジル〜中米に分布。熱帯降雨林の樹上や水辺にすむ。大きく鋭い歯で小型の哺乳(ほにゅう)類や鳥類を捕食。その他ボア類はエメラルドボア,ニジボア,アナコンダなど約21種が知られ,前上顎骨に歯がなく,卵胎生であることが同科のニシキヘビ類と異なる。

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海の事典 「ボア」の解説

ボア

浅水を水の壁が進んで行く形の波で、段波とも呼ばれる。ボアは2つの異なった水位を持つ水面をつなぐものであるが、必ず低水位側に伝播する。進行速度は 前・後面の深さに対応する長波速度よりも速く、一種の衝撃波である。ボアを挟んで体積・運動量は保存されるが、エネルギーは保存されず、強いボアでは波面 に砕波を伴う。弱いボアでは波の背面に幾つかの短波長の波を伴い、そのようなボアをアンド・ラー・ボアと呼ぶ。満ち潮に際して潮汐によって起こされるもの をタイダル・ボアと言う。 (永田)

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