ボゴタ(英語表記)Bogotá

デジタル大辞泉 「ボゴタ」の意味・読み・例文・類語

ボゴタ(Bogotá)

コロンビア共和国の首都。同国中部、アンデス山中の標高2610メートルの高地に位置する。1538年スペイン人によって建設。人口、都市圏716万(2008)。1991年から2000年までサンタフェ‐デ‐ボゴタと称した。

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精選版 日本国語大辞典 「ボゴタ」の意味・読み・例文・類語

ボゴタ

(Bogotá) コロンビア共和国の首都。同国中央部、アンデス山脈の高原盆地にある高原都市。古いスペイン風の街並みをもつ。サンタフェ‐デ‐ボゴタ。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ボゴタ」の意味・わかりやすい解説

ボゴタ
Bogotá

コロンビアの首都。またクンディナマルカ州の州都。同国中部,アンデスの東部山脈中,標高約 2600mの高原に位置する。低緯度 (北緯4°36′) にあるが,標高が高いため,気候は涼しく,月平均気温は年間を通して 14℃前後。年降水量約 1000mmで,おもに3~5月,10~11月に降る。 1536年カリブ海沿岸のサンタマルタを出発したスペイン人ゴンサロ・ヒメネス・デ・ケサダは,マグダレナ川に沿って南下し,1538年インディオのチブチャ族の首都バカタ Bacatá を占領,ここに新しい町を建設し,生地にちなんでサンタフェデバカタ Santa Fé de Bacatá と命名。バカタはやがてボゴタに転訛した。その後ヌエバグラナダと名づけられたスペイン植民地の首都として発展。 1819年この地方がスペインから独立し,新たに成立した大コロンビアの首都ボゴタとなった。大コロンビア解体後はヌエバグラナダの名のもとに独立したコロンビアの首都となった。地理的に孤立した山間にあったことと相まって,19世紀には政治的混乱が続き発展が妨げられ,20世紀に入っても 1948年の暴動などにより大きな被害を受けたが,コロンビアの経済,文化,政治の中心地として徐々に発展。 1991年ボゴタはサンタフェデボゴタと改められたが,2000年には再びボゴタに戻された。主産業は商業。タイヤ,化学,医薬品の国営工場が立地する。グアダルペ,モンセラテ両山の西麓に広がる市街には,碁盤目状に整備された街路に沿って,16世紀にさかのぼる古い建築物と近代的な高層ビルが混在。市域も旧市街を中心にしだいに拡大,南部には下層階級の住宅地,北部には商業地区,さらにその北に高級住宅地区などが形成されている。古くからの文化中心地として,市内にはコロンビア最古のサント・トマス大学 (1580) ,コロンビア国立大学 (1867) をはじめとする多くの高等教育機関,国立博物館,国立天文台,国立図書館,コロンブス劇場などがある。かつては世界で最も交通の便の悪い首都の一つであったが,現在はカリブ海沿岸からの鉄道が通じるとともに,パンアメリカン・ハイウェーを含む道路が四通,さらに近年空運の発達に伴って同国の航空網の中心となり,交通上の不便さも大幅に緩和された。行政上は 1955年隣接地区とともに州から分離,ボゴタ特別区を構成。人口 724万3698(2009)。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ボゴタ」の意味・わかりやすい解説

ボゴタ
ぼごた
Bogotá

南アメリカ、コロンビアの首都で、同国最大の都市。同国中央部のクンディナマルカ県の県都でもある。人口627万6428(1999)、828万1030(2019推計)。コロンビア・アンデス、コルディエラ・オリエンタル山脈中の高原、サバナ・デ・ボゴタの南東隅の標高約2600メートルに位置する。年平均気温14.5℃、気温年較差1.1℃という冷涼で年変化の少ない熱帯高山気候下にある。年降水量は1059ミリメートル。

 コロンビア中北部に居住していたチブチャ人の首都がここにあったが、1538年、スペイン人ゴンサロ・ヒメネス・デ・ケサダGonzalo Jiménez de Quesada(1500?―1579)によって征服され、新都市サンタフェ・デ・ボゴタが建設された。以後、南アメリカ北部のスペイン植民地の中心的都市として発展し、1717年にはヌエバ・グラナダ植民地の臨時的なスペイン副王府が、1739年には正式な副王府が置かれた。1810年に始まるスペインからの独立運動の後、1819年から1830年まで続いた大コロンビア共和国の首都でもあった。独立後、単にボゴタとよばれるようになったが、1991年7月、新憲法に基づいて市名をボゴタからサンタフェ・デ・ボゴタに改称した。ところが、長くて不便な名称との国民の声が強く、2000年ふたたび首都改称がなされ、コロンビアの首都名は、サンタフェ・デ・ボゴタからボゴタに戻った。

 東方に連なるグアダルーペ山、モンセラーテ山など3000メートル級の山々の麓(ふもと)に沿い、南北に長い市街地が広がっている。都心部には近代的高層ビルが多数みられるが、ボリーバル広場を中心とした格子状の街路に多くの教会、赤瓦(かわら)屋根の家々が並び、植民地時代からの旧市街地もよく保存されている。1940年代から1950年代にかけての政情不安な時代に、内戦状態にあった国内各地方から多数の難民が首都へ流入、これを契機として市街地の無秩序な拡大が始まり、都市周辺各所にトゥグリオスとよばれるスラム街が形成された。これがこの都市の治安不良の一因ともなっている。市内のおもな観光施設としては、先住民の黄金工芸品を展示する黄金博物館、独立の父シモン・ボリーバルの邸宅、市を眼下に一望できる標高3160メートルの山上にあるモンセラーテ寺院などがある。

[松本栄次]

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改訂新版 世界大百科事典 「ボゴタ」の意味・わかりやすい解説

ボゴタ
Bogotá

コロンビアの首都で,クンディナマルカ県の県都。大都市域人口718万5889(2005)。アンデス山系中のクンディナマルカ盆地の標高2600mの高地部に立地する。1538年ヒメネス・デ・ケサダが先住民族チブチャ族の地に創設し,サンタ・フェ,またサンタ・フェ・デ・ボゴタと称した。独立後はボゴタと称したが,1991年に植民地時代の旧称に改め,2000年再びボゴタに戻った。ボゴタの名は原住民チブチャ族系のバカダ族に由来する。独立当初の短命に終わったグラン・コロンビアの首都となり,1830年コロンビアが分離独立して以来,今日まで変わらず首都である。植民地時代はスペイン植民地行政の中心として,早くも1549年にアウディエンシアが設置された。1564年にはペルー副王領内の北部地方行政の中心地となり,同地域の経済開発と社会構造の多様化の結果,1718年には独立の副王領が設置され,諸権力の中枢の所在地となった(副王制)。

 植民地時代,行政・文化・宗教の中心地であったため都市の生産活動は少なく,もっぱら消費都市であった。独立後,国家が経済活動に関与するにつれて,商業・金融業が都市の生産部門の担い手となった。独立後1820年代前半までたいした産業はなく,伝統産業として貴金属加工,皮革,食品などがある程度だったが,コーヒーの増産,鉱工業,製造工業が主として外国資本の導入をもって興される1920~30年代になり,産業都市として発展した。60年代の総合開発では,増大する国内需要を充足する各種産業の設置が決定され,従来の産業のほかに繊維,タバコ,セメント,出版,冶金,ゴム,肥料,帽子,製塩,鉄鋼,化学薬品などの産業を創設することになった。しかし,人口の集中とともにスラムが生まれるなどの問題が起きている。
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百科事典マイペディア 「ボゴタ」の意味・わかりやすい解説

ボゴタ

コロンビアの首都。同国中部,アンデス山脈中の標高約2600mの高原にある。コロンビアがスペインより独立して以後はボゴタと称してきたが,1991年植民地時代の旧称サンタ・フェ・デ・ボゴタに改称し,さらに2000年ボゴタと改称した。1538年創設,植民地時代から一貫して政治の中心であったが,1940年代に工業化が進展し,農村部からの移住が増えた。このため,ボゴタの人口は過去50年間に約20倍になった。旧市街に植民地時代の主要な建造物が集まり,先スペイン期の黄金製品を収蔵する〈黄金博物館〉,土器の収集を誇る〈考古学博物館〉などがある。1948年ボゴタ会議が開かれた。694万5216人(2006,大都市圏)。
→関連項目コロンビア

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「ボゴタ」の解説

ボゴタ
Santa Fe de Bogotá

コロンビアおよびクンディナマルカ県の首都。海抜約2600mの盆地にある。もとは,トゥンハとともにムイスカ文化の中心であったバカタの都があった。スペイン植民地時代はヌエバ・エスパニャ副王領の首都であり,大コロンビアの独立とともに首都となった。

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世界大百科事典(旧版)内のボゴタの言及

【サンタ・フェ・デ・ボゴタ】より

…アンデス山系中のクンディナマルカ盆地の標高2600mの高地部に立地する。1538年ヒメネス・デ・ケサダが先住民族チブチャ族の地に創設し,サンタ・フェ,またサンタ・フェ・デ・ボゴタと称した。独立後はボゴタと称したが,1991年に植民地時代の旧称に改めた。…

※「ボゴタ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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