ボナール(Louis Gabriel Ambroise Bonald)(読み)ぼなーる(英語表記)Louis Gabriel Ambroise Bonald

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ボナール(Louis Gabriel Ambroise Bonald)
ぼなーる
Louis Gabriel Ambroise Bonald
(1754―1840)

フランスの政治学者、政治家。ド・メーストルとともに、熱烈なカトリック復古主義の主唱者啓蒙(けいもう)思想とフランス革命の原理に反対し、王権と教会の権威を弁護した。1791年にハイデルベルク亡命、1796年に書いた『政治権力と宗教権力についての理論』は、あまりにも王党派的であるとして革命政府の執政官から非難された。1797年に帰国。1814年ブルボン王朝の復古によりボナールも政府の要職につき、1816年にはフランス・アカデミーの会員に指名され、1821年には爵位を叙せられ、1823年には貴族院議員となる。1815年『ヨーロッパの一般的利益に関する考察』を書き、1830年には『社会の形成原理についての哲学的証明』を公刊。同年七月革命が勃発(ぼっぱつ)し、以後故郷ル・モンナで晩年を過ごす。彼の政治論は聖書と伝統を根拠にし、君主は神が制定した自然法の唯一の執行者であるとして君権的絶対主義を擁護し、ルソー的社会契約論やモンテスキュー的三権分立論を否定したものであった。

田中 浩]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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