日本大百科全書(ニッポニカ) 「ボリス(1世)」の意味・わかりやすい解説
ボリス(1世)
ぼりす
Boris Ⅰ
(?―907)
ブルガリアの公(汗)(在位852~889)。864年に東方キリスト教に改宗し、国教とする。背景には、国内のスラブ人とチュルク系ブルガール人との統一を図り、中央集権国家を形成する目的があった。869~870年のコンスタンティノープル主教会議では、東西教会の対立を利用してブルガリア教会の事実上の独立をかちとった。886年に、モラビアを追放されたキリロスとメトディオスの弟子たちを受け入れ、彼らの教育、翻訳活動を援助したことから、ブルガリア文化の黄金時代が到来した。889年、長子に位を譲って引退するが、彼が異教徒と組んで反乱を起こすとこれを鎮圧し、第3子のシメオンを位につけた。
[寺島憲治]