日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ボーン(Henry Vaughn)
ぼーん
Henry Vaughn
(1622―1695)
イギリスの詩人。ウェールズ出身で、ケルト的傾向が強く、いわゆる形而上派詩人(メタフィジカル・ポエット)の神秘主義的側面を代表する。オックスフォード大学を出て、ピューリタン革命では王党派に属したが、敗戦後田舎(いなか)に隠棲(いんせい)して医者になり、瞑想(めいそう)的な詩や散文を書いた。同じ形而上派の宗教詩人G・ハーバートに比べ、作品の完成度は低いが、神秘的恍惚(こうこつ)の表現では英詩史上まれにみる達成を示している。代表作は『火花散る火打ち石』二部(1650~1655)に収められ、ほかに詩と散文を集めた『アスクの白鳥』(1651)がある。
[川崎寿彦]
[参照項目] |