日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ボーン(Louis-Paul Boon)
ぼーん
Louis-Paul Boon
(1912―1979)
ベルギー、フランドルの小説家。写実主義の第一人者。その作品はペシミズムの色調が濃い。無産階級の台頭を描いた『近郊地域の胎動』(1941)、個人の社会的責任を強調したルポルタージュ『私の小さな闘争』(1946)などがある。彼の作品の頂点ともいえる『チャペルへの道』(1953)は、ベルギーにおける社会主義建設期のプロレタリア出身の一少女の成長を描いたもので、その強烈な写実、巧みな構成は秀逸。『続チャペルへの道』は『テル・ミューレンの夏』のタイトルで1956年に出る。『二人の妖怪(ようかい)』(1952)、『メヌエット』(1955)などの短編もある。シュルレアリスムの画家としても有名。
[近藤紀子]