マクロ経済政策の目標は,完全雇用,経済成長の達成,物価の安定,国際収支均衡の維持など多数あるが,これらの政策目標を達成するためには,(1)財政政策手段(財政支出,租税収入,財政赤字または黒字など),(2)金融政策手段(公定歩合政策,公開市場操作,預金準備率の変更,窓口指導など),(3)価格統制(物価統制,利子率・配当率・地代・家賃統制,賃金統制など)や数量統制(食糧管理,物資統制,物資配給配当など)や所得政策など種々の政策手段が用いられる。J.ティンバーゲンは,一般的結論として〈政策目標をn個同時に達成しようとすれば,政策手段はn個なければならない〉ことを示したが,このように複数の経済政策目標を達成させるために,財政政策,金融政策などの政策手段を同時に複数用いることをポリシー・ミックスという。また,国外要因を考慮した場合についてR.マンデルは,固定相場制下であるか変動相場制下であるかによって財政政策,金融政策のポリシー・ミックスが異なることを明らかにした。
執筆者:吉野 直行
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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