ポリチオン酸(塩)(読み)ポリチオンサンエン

化学辞典 第2版 「ポリチオン酸(塩)」の解説

ポリチオン酸(塩)
ポリチオンサンエン
polythionic acid(polythionate)

H2SnO6=[(HO)(O)2SSn-2S(O)2(OH)](n ≧ 2)のIUPACが受け入れる慣用名.IUPAC置換命名法による正式名称はポリスルファンジスルホン酸(n ≧ 3).n = 3はトリチオン酸[CAS 27621-39-2],n = 4はテトラチオン酸[CAS 13760-29-7].n = 2のジチオン酸は含めないこともある.かなり強い二塩基酸で,純粋なものを単離はできないが,水溶液,およびいくつかについてはエーテル付加物(固体のものもある)が得られる.水溶液もかなり安定である.塩は,[SnO6]2- を含むイオン結晶で,n = 20程度まではクロマトグラフィー分離確認されているが,さらにnの大きいものも存在する.アルカリ金属塩は安定である.
製法:(1)ワッケンローダー液に各種のポリチオン酸が含まれる.これを中和すると,それぞれの塩が得られる.
(2)As2O3の存在下で,S2O32-SO2およびH2Sと反応させると得られる.原料比と製法の操作から,ある程度含まれる酸の組成を制御できる.反応は,

 6S2O32- + (2n - 9)H2S + (n - 3)SO2

3SnO62- + (2n - 12)H2O + 6OH 

(3)Na2S2O3の冷濃水溶液にH2O2を加えて酸化すると生成する.I2 で酸化するとS4O62-になる.塩などの [O3S-Sn-SO3]2-構造は,両端の-SO3のSのまわりは正四面体に近く,これを-Sn-直鎖が結んでいる.∠O-S-S102~103°,∠S-S-S103°,O3S-S2.12 Å,中間のS-S2.20 Å.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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