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マイクロ化学 まいくろかがく micro chemistry

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知恵蔵の解説

マイクロ化学

微小空間の特性を利用して化学反応細胞培養、物質分析などを有利に進めようとする化学。ゼオライト細孔など分子レベルの大きさの反応場を用いるものもあるが、基板上に幅数百nm(n〈ナノ〉は10億分の1)〜数百μm(μ〈マイクロ〉は100万分の1)のマイクロ流路を形成し、その流路内で混合、反応、分離、検出などを行わせるものが一般的だ。反応場としてマイクロ流路を用いる利点は、以下の点。(1)反応空間が狭いため、分子の拡散(移動)距離が短く、拡散による混合時間も短くなる。拡散時間は拡散距離の2乗に比例するので、拡散時間によって反応時間が決まる系では、反応時間を大幅に短縮できる。(2)流路壁面と液体、または反応媒質を2層に分けて反応容器に導入した場合、液体同士が接している界面積と反応体積との割合(比界面積)が極めて大きくなるため、界面で行われる化学反応や抽出の効率、速度を上げられる。(3)体積の小さい反応場の熱容量も非常に小さくなり、精密な温度制御が容易となる。急速な加熱・冷却も可能になるため、温度変化のプロセスの間に副反応が起きる系でも、有利に反応が進められる。このようなマイクロ空間の特性を生かして化学プロセスを集積するために作られたデバイス(仕組み)をマイクロ化学チップ、マイクロリアクターといい、これを用いた反応・分析システムは、μ‐TAS(マイクロタス)、Lab‐on‐a‐Chip(ラボオンチップ)と呼ばれている。

(市村禎二郎 東京工業大学教授 / 2007年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」
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