マイヤー(Eduard Meyer)(読み)まいやー(英語表記)Eduard Meyer

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

マイヤー(Eduard Meyer)
まいやー
Eduard Meyer
(1855―1930)

ドイツの古代史家。ハンブルクに生まれる。ボン大学、ライプツィヒ大学に学ぶ。1889年からハレ大学教授。1902年からはベルリン大学教授(~1923)。その研究はエジプト史、ヘブライ史、ギリシア史、ローマ史、初期キリスト教史と多方面にわたり、これらの従来孤立して扱われていた古代史の諸分野を相互に関連づけ、一つの普遍的枠組みのなかで考察した。その主著『古代史』(五巻・1884~1902)は、精緻(せいち)な実証研究に基づいた概説書で、政治、社会、精神文化の諸領域にまたがり、とくにそのなかでもっとも大部を占めるギリシア史の叙述は、今日なお高い学問的価値を有する。ローマ史の研究では『カエサル君主制ポンペイウスの元首制』(1918)、キリスト教史では『キリスト教の起源と初期史』(三巻・1921~23)、エジプト史については『エジプト年代学』(1904)があり、そのほか歴史の理論と方法についての論文(『小論文集』二巻・1910~25・所収)もある。マイヤーは、その専門領域の広さ、穏健な批判的・実証的研究態度、またその業績の大きさで、20世紀初めヨーロッパでの古代史研究者の間で卓越した地位を占める。

[木谷 勤]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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