マイヤー(Kurt Heinrich Meyer)(読み)まいやー(英語表記)Kurt Heinrich Meyer

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

マイヤー(Kurt Heinrich Meyer)
まいやー
Kurt Heinrich Meyer
(1883―1952)

ドイツのちスイスで活躍した化学者。ロシアのドルパト(現、タルトゥ)に生まれる。おもにドイツで教育を受け、ライプツィヒ大学などで化学を研究、1907年学位を得、バイヤーに指導される有機化学学校に職を得た。初めケト‐エノール互変異性などの研究をしたが、1921年ドイツのBASF社に、次いで1926年イー・ゲー・ファルベンに勤め、若いH・F・マルクとともに高分子化学を研究、1928年セルロースの構造はグルコース基の長い鎖からなり、その連鎖は繊維軸に平行に規則正しく配列するとの説を提起した。この説はヘルツォークReginald Oliver Herzog(1878―1935)らの低分子説を引き継ぎながら、シュタウディンガーの高分子説に通じるもので、マルクとの共著『高重甲有機天然物の増成』Der Aufbau der hochpolymeren organischen Naturstoffe(1930)とともに高分子研究に大きな貢献をした。1932年、政治的圧迫からジュネーブ大学に移り、セルロース、キチン、溶液中の巨大分子の熱力学、ゴムとの比較における筋肉収縮などの研究を続けた。

[道家達將]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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