マフラー(襟巻)(読み)まふらー(英語表記)muffler

翻訳|muffler

日本大百科全書(ニッポニカ) 「マフラー(襟巻)」の意味・わかりやすい解説

マフラー(襟巻)
まふらー
muffler

もともと、包んだり覆ったりするもののことであるが、日本では主として、防寒のために首に巻く分厚いスカーフ、あるいは襟巻をいう。普通、カシミヤウール、絹などの、格子や無地、綾織(あやおり)などの長方形布地を二つ折りにして用いるが、腰よりも長く垂らす毛糸編みのものもある。コートやジャケットの下や上、セーターの上などに用いるが、防寒用としてだけではなく、装飾的要素をもつものも多い。

 わが国では、奈良時代の婦人の領巾(ひれ)の例にみるように、首に布を巻く風は古くからある。江戸時代の町の男性は、薄手の絹を防寒用として首に幾重にも巻いていたが、明治には西欧の風俗に従い、1871年(明治4)ごろより長襟巻が流行し始めた。布地は舶来の白いネルや白縮緬(ちりめん)で、形は長方形のもの、一辺約70センチメートルの正方形の布を二つ折りにしたものなどがあった。1877年ごろ、わが国でも襟巻が機械生産され始めたが、当時正方形のものはマフラー、長方形のものはスカーフとよばれていた。1883~1884年ごろ、皮膚抵抗力を弱めるという医者発言一時廃れたものの、1888~1889年ごろより復活し、白縮緬、毛糸、毛織物、絹、キツネウサギ毛皮のものなど、種々の色と形のものがみられるようになった。

[田村芳子]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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