マランタ(英語表記)Maranta

デジタル大辞泉 「マランタ」の意味・読み・例文・類語

マランタ(〈ラテン〉Maranta)

クズウコン科の常緑多年草。熱帯アメリカ原産観葉植物楕円だえん形の葉の表面紫色の美しい模様がある。

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改訂新版 世界大百科事典 「マランタ」の意味・わかりやすい解説

マランタ
Maranta

クズウコン科クズウコン属Maranta総称。多年草で熱帯アメリカに約23種が知られるが,うち数種が観葉植物として栽培されている。多いのはマランタ・レウコネウラM.leuconeura E.Mor.(英名prayer plant)とその変種群である。基本種var.leuconeuraは葉が広楕円形で,中央部と側脈部が青緑色,脈間は黒緑色,全体にビロード状の光沢があり,裏面は淡紅紫色である。多くの場合,マッサンゲアナ(和名ヒョウモンヨウショウ)var.massangeana E.Mor.と呼ばれている。モンヨウショウvar.kerchoviana E.Mor.は緑白色に黒緑色の大きな斑(ふ)が入り,裏面は白緑色。1912年ころに導入された。エリスロネウラvar.erythroneura Bunt.は側脈が淡赤色となり,裏面も紅紫色で美しい。マランタ・ビコロルM.bicolor Ker-Gawl.はブラジルギアナの原産で,前種に似ているが,地下に塊球をつくって繁殖する。クズウコン塊茎をつくり,西インド諸島では,デンプンを採るため栽培される。また斑入品種が観葉のために栽培されることがある。マランタ類の多くは茎がはうので,つり鉢仕立てや壁にはわせるとよいが,乾燥すると葉が巻く。8~10℃で越冬する。

 近縁カラテアCalatheaに似ているが,マランタ属ではめしべ子房は1室に退化していて,3室あるカラテア属から区別される。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「マランタ」の意味・わかりやすい解説

マランタ
まらんた
[学] Maranta

クズウコン科(APG分類:クズウコン科)マランタ属の総称。多年草。熱帯アメリカに約20種分布する。同じくクズウコン科のカラテア属とともに美しい色彩、模様の葉を観賞するため栽培される。葉は根際(ねぎわ)から出るものと、茎から出るものがある。本属の代表種クズウコンは英名をアロールートarrowrootといい、根部の塊茎からデンプンをとることでよく知られるが、観賞用としては、葉に白斑(はくはん)が入るフイリクズウコンがある。このほかにモンヨウショウは楕円(だえん)形の葉に大きな斑紋が入り、小鉢仕立てで人気がある。またエリスロネウラ種は葉脈が赤く、美しい。栽培は温室か室内の明るい日陰で行い、夏は乾燥しないようにする。越冬温度は10~12℃以上。繁殖は5~6月、株分けで行う。

[坂梨一郎 2019年6月18日]

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百科事典マイペディア 「マランタ」の意味・わかりやすい解説

マランタ

熱帯アメリカ原産のクズウコン科の一属で約25種あり,数種が観葉植物として温室で栽培される。カラテアと似ており,園芸上はカラテア属の多くがマランタと混同されている。地下に塊茎をもつマランタ・ビカラーは,葉が長さ10cm内外の卵状楕円形で葉柄があり,葉脈の間に暗緑色の斑点がある。これによく似て,斑点が暗紫褐色になるのが,マランタ・レウコネウラ(和名ヒョウモショウショウ)の変種ケルショビアナ(和名モショウショウ)。別の変種エリトロネウラの葉は,中肋に沿って白緑色になる以外は全体に黒緑色を帯び,葉脈が濃桃色,下面が紫紅色となる。ちなみに上記のヒョウモショウショウの葉脈は白味を帯びている。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マランタ」の意味・わかりやすい解説

マランタ
maranta

クズウコン科の多年生観葉植物。園芸界ではマランタ属 Marantaのモンヨウショウ M. bicolorなどのほかに,カラテア属 (ヒメバショウ) の仲間をもマランタと呼ぶ。この2つの属は前者が果実に1種子を生じ,後者が3種子を生じる点で異なるが,葉はいずれも卵形,長柄でよく似ている。南アメリカや熱帯アジアに分布するが,通常はブラジルなどの南アメリカ産種が栽培され,温室を必要とし,高湿度,日陰を好む。

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