マルタの鷹(読み)まるたのたか(英語表記)Maltese Falcon

日本大百科全書(ニッポニカ) 「マルタの鷹」の意味・わかりやすい解説

マルタの鷹
まるたのたか
Maltese Falcon

アメリカのハードボイルド推理作家D・ハメットの長編小説。1930年発表。探偵サムスペードのパートナーであるマイルズは、誘拐事件の捜査中、何者かに射殺された。捜査の進展とともに、なおも幾人かの死者が現れ、事件の中心には、マルタ島騎士団がスペイン皇帝に献上したという黄金の鷹の像があることがわかる。それをめぐって悪人たちが暗躍していた。感情を押し殺して悪人たちと腹を探り合うスペードの駆け引きが、ハードボイルド・タッチでよく生かされている。31年、37年、41年の3回映画化されたが、41年のジョン・ヒューストン脚本・監督、ハンフリー・ボガート主演の作品が原作を生かしたハードボイルド映画古典として評価が高い。

[梶 龍雄]

『村上啓夫訳『マルタの鷹』(創元推理文庫)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

デジタル大辞泉プラス 「マルタの鷹」の解説

マルタの鷹

①米国の作家ダシール・ハメットのハードボイルド小説の古典的名作(1930)。原題《The Maltese Falcon》。ハードボイルド探偵の代名詞、私立探偵サミュエル(サム)・スペードが主人公
②1931年製作のアメリカ映画。原題《The Maltese Falcon》。①を原作とする。監督:ロイ・デル・ルース、出演:ビービー・ダニエルズほか。
③1941年製作のアメリカ映画。原題《The Maltese Falcon》。①を原作とする。ジョン・ヒューストンの監督デビュー作となるフィルム・ノワール。出演:ハンフリー・ボガート、メアリー・アスター、ピーター・ローレほか。第14回米国アカデミー賞作品賞ノミネート。

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