日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
マン(Klaus Mann)
まん
Klaus Mann
(1906―1949)
ドイツの小説家、評論家。トーマス・マンの長男。ペシミスティックな文明批評の立場から小説、評論、自伝を書いた。1933年オランダのアムステルダムに亡命、オルダス・ハクスリー、ハインリヒ・マン、アンドレ・ジッドらと亡命者の機関誌『集合』(1933~35)を編集する。1936年アメリカに帰化し兵役にもついた。第二次世界大戦後ドイツに帰ったが、南フランスのカンヌで自殺する。名優グスタフ・グリュントゲンスをモデルにした小説『メフィスト』(1936)は映画化もされて話題をよんだ。ほかに小説『悲愴(ひそう)交響曲』(1935)、自伝『転回点』(1942)などがある。
[小栗 浩]
『小栗浩・渋谷寿一・青柳謙三訳『マン家の人々』『反抗と亡命』『危機の芸術家たち』(原題『転回点』1970~71・晶文社)』▽『岩淵達治他訳『メフィスト』(1983・三修社)』▽『小栗浩訳『転回点――マン家の人々』(1986・晶文社)』▽『奥田敏広著『トーマス・マンとクラウス・マン――「倒錯」の文学とナチズム』(2006・ナカニシヤ出版)』
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