マーチン(Archer John Porter Martin)(読み)まーちん(英語表記)Archer John Porter Martin

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

マーチン(Archer John Porter Martin)
まーちん
Archer John Porter Martin
(1910―2002)

イギリスの生化学者。3月1日ロンドンに生まれる。ケンブリッジ大学で博士号取得(1936)。リーズの羊毛工業研究協会勤務(1938~1946)、最初リスター研究所にあった医学研究会議のスタッフ(1948~1959)などを経て、アボッツバリー研究会社の取締役(1959~1970)。おもな業績は、シングと共同研究した分配クロマトグラフィーおよびペーパークロマトグラフィーの開発であり、アセチルアミノ酸を分離しようとして二つの液相間の平衡の確立によって溶質分子を二相の間に分配する方法(1941)を考案し、さらにこの方法を発展させ1944年には濾紙(ろし)によるアミノ酸の分離法を開発、生化学に貢献、これにより1952年シングとともにノーベル化学賞を受賞。また同年にはジェームズAnthony T. James(1922―2006)とともに分配ガスクロマトグラフィーの実験に成功、今日のガスクロマトグラフィーの基礎を築いた。その後もローザンヌの国立工科大学客員教授(1980~1983)などを歴任、多くの賞を得た。日本の勲二等旭日重光章受章。

[岩田敦子]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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