日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
マーチン(John Martin)
まーちん
John Martin
(1789―1854)
イギリスの画家。ノーサンバーランドのヘイドン・ブリッジに生まれる。初めロンドンでガラス器や磁器の絵付師として働いていたが、1811年からロイヤル・アカデミーに風景画を出品し始めた。『ベルシャザルの饗宴(きょうえん)』(1821)や『大洪水』(1828)など大画面に壮大な終末論的情景を描いた作品は、当時流行した「崇高」の美学にのっとったものとして広く人気を集めた。彼の作品は、メゾチントによって複製され、ミルトンの『失楽園』や聖書の挿絵とともにヨーロッパ中に広く流布し、ユゴーやゴーチエなどフランス・ロマン派の文人に大きな影響を与えた。マン島で没。
[谷田博行]