日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ミッチェル(Peter Dennis Mitchell)
みっちぇる
Peter Dennis Mitchell
(1920―1992)
イギリスの生化学者。ロンドン郊外のミッチャムに生まれる。クイーンズ・カレッジ、ケンブリッジ大学で生化学を学び、1951年博士号を取得した。ケンブリッジ大学で助手を務めたのち、1955年エジンバラ大学に招かれ、1961年講師となった。1963年大学を去り、コーンウォール県のボドミンでグリン研究所を設立した。この研究所はミッチェルの個人的な研究所といえるもので、そこで研究生活を続けた。
細胞がいかにして外部からエネルギーを獲得するかについて考察した。細胞のエネルギー代謝にアデノシン三リン酸(ATP)が重要な役割をしていることは知られていたが、そのメカニズムについては解明されていなかった。ミトコンドリアの膜内外で生じる水素イオンの電気化学的勾配(こうばい)がATPの合成の元になるという「化学浸透圧説」を提唱した。1961年にこの説が発表されたときは疑問視する声が大きかったが、やがて実証され、認められるに至った。1978年この業績に対してノーベル化学賞が与えられた。
[編集部]
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