ミュラー(ドイツ出身のイギリスの言語学者、宗教学者 Friedrich Max Müller)(読み)みゅらー(英語表記)Friedrich Max Müller

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ミュラー(ドイツ出身のイギリスの言語学者、宗教学者 Friedrich Max Müller)
みゅらー
Friedrich Max Müller
(1823―1900)

ドイツ出身のイギリスの言語学者、宗教学者。ライプツィヒ大学サンスクリット語を学び、パリのビュルヌフのもとで『ベーダ』の研究を行う。イギリスに渡り、1850~1876年の間オックスフォード大学で文学、言語学などを講じた。1870年ロンドンの王立協会で行った講演のなかで、宗教学science of religionという表現を用い、あらゆる宗教を客観的、科学的に比較研究する必要を力説した。ここからミュラーは一般に近代宗教学の始祖とみなされる。彼の宗教学は、おもに神話など歴史上の宗教思想を資料とし、比較言語学の方法を範として、宗教の起源と発達の系譜をたてることを目的とした。それは「無限なるもの」が順次に物的対象、人的事象、そして心的自己を通じて認知される過程だという。彼はまた東洋諸宗教の聖典を同僚の協力を得て英訳し、『東方聖典』Sacred Books of the East51巻を編集した。

[田丸徳善 2018年8月21日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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