ミラボー(marquis de Mirabeau, Victor Riquetti)(読み)みらぼー(英語表記)marquis de Mirabeau, Victor Riquetti

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ミラボー(marquis de Mirabeau, Victor Riquetti)
みらぼー
marquis de Mirabeau, Victor Riquetti
(1715―1789)

フランスの経済学者。革命期の政治家ミラボー伯の父。初め軍職にあったが、退役後経済学の研究に専心するようになり、カンティヨンの『商業一般の性質に関する研究』Essai sur la nature du commerce en général(1755)の手稿を入手して、これを簡略にしたもの(あるいは盗作)を自己の著作として発表しようとしたが、手稿の返却を求められたため、予定を変更して『人間の友あるいは人口論』L'Ami des hommes, ou Traité de la population(1756)を発表した(実際の出版は1757年)。彼はこの書で、フランスの富の増大のためには、コルベール主義のもとで減少した農村人口を回復し増大することが先決であるとした。「人口」論という書名をもつ最初の著作とされる。ケネーの『経済表』Tableau économique(1758)の前年の著作であり、好評を博し、以後次々と続編を追加して大著となる。『経済表』の出現後はケネーの理論に共鳴し、人口主義者の立場は放棄せずに農業資本主義を目ざす重農主義のよき普及者となり、『人間の友』の続編(1760)やケネーとの共著とされる『農業哲学』Philosophie rurale(1763)で難解な『経済表』の解説にあたった。『租税論』Théorie de l'impôt(1760)では重農主義の土地単一税論を展開した。

[津田内匠]

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