日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ミランダ(Francisco de Miranda、ベネズエラの軍人)
みらんだ
Francisco de Miranda
(1750―1816)
ベネズエラの軍人、独立戦争の先駆者。カラカスの富裕なクリオーリョ(植民地生まれの白人)の家庭に生まれる。大学で哲学を修めたのち、1771年スペインに渡り入隊した。アメリカ独立戦争に参加し、81年ペンサコーラ奪回の戦いで功をたて陸軍中佐となった。その後ハバナとカルタヘナで密貿易、危険思想などの罪名を着せられ、植民地を追放された。欧米諸国で南米解放運動の資金調達に明け暮れたが満足せず、ふたたびアメリカに渡りジェファソン大統領の協力を得て、1806年200人の兵士をオクマレに上陸させた。しかし国内の反植民地運動が熟さず、国外からの進攻作戦はすべて失敗に帰した。イギリスに逃れた彼はボリーバル将軍に出会い、11年に独立運動の激化したベネズエラに戻り頭領として戦争を指揮した。しかしスペイン軍を封じることができず、秘密の降伏文書に調印したため裏切り者の烙印(らくいん)を押され、スペイン軍に引き渡された。身柄はカディスに移され、数年後に獄死した。
[寿里順平]