ミラー(Merton Howard Miller)(読み)みらー(英語表記)Merton Howard Miller

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ミラー(Merton Howard Miller)
みらー
Merton Howard Miller
(1923―2000)

アメリカの経済学者。ボストン生まれ。ハーバード大学に学び、1952年にジョンズ・ホプキンズ大学博士号を取得。ジョンズ・ホプキンズ大学、ロンドン・スクール・オブ・エコノミックス、カーネギー工科大学(現カーネギー・メロン大学)を経て、1965年にシカゴ大学教授に就任。1976年にはアメリカ・ファイナンス学会会長も務めた。1990年に、H・M・マルコビッツ、W・F・シャープとともにノーベル経済学賞を受賞した。受賞理由は「モディリアーニ‐ミラー理論によって企業金融理論の基礎を構築したことへの貢献」であった。

 1958年、F・モディリアーニ(1985年にノーベル経済学賞受賞)との共同論文「The Cost of Capital, Corporation Finance, and the Theory of Investment.」において、企業金融、財務分析での基本理論である「モディリアーニ‐ミラー理論」(MM理論)を発表する。企業の価値が資本構成配当政策に依存せず、投資計画は資本コストに無関係に決定されるとする法則を導き出した。

 デリバティブ取引意義を強調し、デリバティブが有する金融取引のリスク管理手段、リスクと収益の調整手段、市場における価格発見機能の役割を高く評価する。

[金子邦彦]

『齋藤治彦訳『デリバティブとは何か』(2001・東洋経済新報社)』

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