ミレス(読み)みれす(英語表記)Carl Milles

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ミレス」の意味・わかりやすい解説

ミレス
みれす
Carl Milles
(1875―1955)

スウェーデン彫刻家。本名Carl Emil Wilhelm Andersson。北欧最大の祭りである夏至の夜、ウプサラ近郊のオービー海軍軍人の子として誕生。ストックホルムの美術工業高校に2年学んだのち、パリでロダン師事。1901年ミュンヘンに移り彫刻家ヒルデブラントの理論に影響を受ける。帰国後の4年、高さ約7メートルの着色木彫像『グスタブ・バサ王』(北方博物館)に着手。20~31年ストックホルムの王立美術アカデミー教授、31年アメリカのクランブルク美術アカデミー教授に招かれ、20年間とどまる。北欧神話に多く題材を求め、幻想的で不可思議な空間彫刻の大作を多く残した。晩年アトリエとしたストックホルム近郊のリディンゲ島にミレス園(国立彫刻庭園)がある。代表作『神の手』『人とペガサス』は箱根・彫刻の森美術館にも収蔵されている。

[三田村畯右]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ミレス」の意味・わかりやすい解説

ミレス
Milles, Carl

[生]1875.6.23. スウェーデン,ウプサラ
[没]1955.9.19. スウェーデン,リーディンゲー
スウェーデン生れのアメリカの彫刻家。ストックホルムの工芸学校で学んだのち,1897年パリに出てロダンの影響を受けた。 1902年ステン・ストゥレ記念碑コンクールに入選。 06年ストックホルムに帰り,ギリシアのアルカイック彫刻やロマネスク風を取入れた独特の作風を展開,『フォルクンガ噴水』,『ダイアナ噴水』 (1928,ストックホルム) などのモニュメンタルな作品を制作。 29年渡米,45年アメリカ国籍を取得。主要作品『移民と魚』 (40,ペンシルバニア,ハリスバーグ) ,『復活の記念碑』 (46頃,ワシントン,ナショナル・メモリアル・パーク) 。

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百科事典マイペディア 「ミレス」の意味・わかりやすい解説

ミレス

スウェーデンの彫刻家。1897年―1904年パリでロダン助手となり,1920年―31年ストックホルム美術学校教授を務めたのち渡米。1945年帰化。歴史的肖像,記念碑,特にストックホルムの《オルフェウス噴水群像》(1936年)など,幻想的な構想もと様式化された噴水彫刻を得意とした。

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