ミーラン(読み)みーらん(英語表記)Mirān

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ミーラン」の意味・わかりやすい解説

ミーラン
みーらん
Mirān

中国、新疆(しんきょう)ウイグル自治区東辺のロプ砂漠南辺にある都城址(し)。スタインの第二次および第三次探検により、2種類の遺跡が発見された。その第一はMⅡからMⅤに至る3~5世紀の寺院址で、いずれもストゥーパを中心とする仏塔寺院形式である。とくにMⅢ寺址からは美しい有翼天使像の壁画が出土したことで名高い。MⅢの西54メートルにMV寺址があり、ここからは須大拏(ビシユバンタラ)太子本生や、いかにもグレコ・ローマン風の花綵(はなづな)をもつ男女群像壁画等が出土し、この地がヘレニズム文化東端であったことを示している。第二はMⅠ城址で、チベット文書、武器、黒漆塗りの小札(こざね)の皮鎧(かわよろい)などから吐蕃(とばん)の遺跡とみられる。この地は古来西域南道の要衝であり、かつ青海路との交会点として重要なオアシスであった。

[長澤和俊]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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