日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ムハンマド(Elijah Muhammad)
むはんまど
Elijah Muhammad
(1897―1975)
アメリカの黒人組織黒人イスラム教団「ブラック・ムスリム」の指導者。ジョージア州サンダースビル生まれ。30歳ぐらいまで職を転々としたのちイスラム教組織に参加。1931年初めてイスラム教寺院を建設。シカゴで組織活動に献身。第二次世界大戦中、徴兵を忌避して4年間の獄中生活。1959年アメリカ20余州に50余りのイスラム教寺院を建設するほどに支持基盤を拡大。1960年代に入りとくに白人との対決姿勢を強め、暴力的手段の行使をも掲げた。1970年には自給自足的な黒人イスラム教国家の樹立を目ざし、白人社会からの経済的自立を主張した。黒人はアッラーの神によって選ばれたのであり、黒人の解放は白人社会から分離し白人社会を乗り超える以外にはありえないとするのが彼の思想的特徴である。
[河内信幸 2018年4月18日]
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