ムーア(Henry Ludwell Moore、統計経済学者)(読み)むーあ(英語表記)Henry Ludwell Moore

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ムーア(Henry Ludwell Moore、統計経済学者)
むーあ
Henry Ludwell Moore
(1869―1958)

今日の計量経済学、実証的経済研究への先駆的貢献をしたアメリカの統計経済学者。メリーランド州に生まれる。1896年ジョンズ・ホプキンズ大学で学位を取得し、同大学講師、スミス大学教授を経て、1902~29年コロンビア大学教授。既存の経済理論を、データを用いて実証的に検証しようとする彼の一連の仕事のうち、『経済循環――その法則と原因』Economic Cycles : Their Law and Cause(1914、邦訳書名『経済循環期の統計的研究』)では、景気循環を、農産物の収穫量に関する周期性の観測を通して、降雨量の循環性と結び付けて説明し、さらに、農産物の需要関数に関する実証的研究をも行った。のちに、経済理論と実証分析との統合という彼の考え方は、『総合経済学』Synthetic Economics(1929)なる著書によって集大成された。

高島 忠]

『蜷川虎三訳『経済循環期の統計的研究』(1926・大鐙閣)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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