メギス(読み)めぎす(英語表記)Labracinus cyclophthalmus

日本大百科全書(ニッポニカ) 「メギス」の意味・わかりやすい解説

メギス
めぎす / 眼鱚
red dottyback
[学] Labracinus cyclophthalmus

硬骨魚綱スズキ目メギス科メギス亜科に属する海水魚。日本では伊豆半島、土佐湾、鹿児島県、南西諸島の海域から知られ、世界では台湾南部、ベトナム、パプア・ニューギニア、西オーストラリア北西岸など西太平洋、インド洋に分布する。背びれ棘(きょく)が2本で、棘部と軟条部の間に欠刻(切れ込み)がなく、側線が2本に分かれているのが顕著な特徴である。体は細長い楕円(だえん)形でやや側扁(そくへん)する。体高は背びれの起部でもっとも高く、後方に向かって低くなる。体高は体長の約31~38%。吻長(ふんちょう)は眼径とほとんど同大。口は普通大で、その後縁は目の中央下に達する。鋤骨(じょこつ)(頭蓋(とうがい)床の最前端にある骨)に比較的大きい歯からなる逆V字形の歯帯がある。側線は2本で、前方のものは鰓孔(さいこう)の上端から始まり、上昇して背びれ軟条始部下付近から体の背縁に並行して走り、側線有孔鱗(ゆうこうりん)数は53~56枚。後方の側線は臀(しり)びれの中央部上方から始まり、体の中央部を尾柄(びへい)まで走り、側線有孔鱗数は19~24枚。背びれは鰓孔上方から始まり、2本の弱くて短い棘と24~26本の分枝軟条からなり、背びれの棘部と軟条部の間には欠刻がない。背びれの後端はとがる。臀びれは3棘14軟条で、その後端はとがる。背びれと臀びれには鱗鞘(りんしょう)(基底付近を覆う鱗(うろこ))が発達する。尾びれの後縁は丸い。頭と体は淡灰色から暗灰色、黄緑色、鮮赤色まで変化に富み、雌雄で異なる。成魚の雄では普通は赤色で、雌や幼魚では暗緑褐色。体の背側面の前部の各鱗に1個の青色から黒色の斑点(はんてん)がある。頬(ほお)と眼前部に青色から暗灰色の多くの斜帯がある。背びれ、臀びれおよび尾びれの縁辺は青色~暗灰色。沿岸の20メートル以浅の岩礁やサンゴ礁域の潮だまり(タイドプール)、環礁、礁斜面など生息場所は多様性に富む。肉食性で、最大全長は22センチメートルになる。水族館で飼育される。北陸地方ではニギスのことをメギスとよぶところがある。

[尼岡邦夫 2023年10月18日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「メギス」の意味・わかりやすい解説

メギス
Labracinus cyclophthalmus

スズキ目メギス科の海水魚。全長 20cmになる。体はやや延長し,側扁する。両顎には 2~3対の犬歯状の歯がある。成魚は暗緑褐色(雌)または濃赤色(雄)で,小黒点が密にある。南日本を含む西部太平洋,東インド諸島に分布する。

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