メクラウオ(読み)めくらうお

日本大百科全書(ニッポニカ) 「メクラウオ」の意味・わかりやすい解説

メクラウオ
めくらうお / 盲目魚
blind cave characin
[学] Astyanax mexicanus

硬骨魚綱カラシン目カラシン科に属する淡水魚メキシコのサン・ルイス・ポトシ付近の洞穴に生息する。発生途中で目が発達を停止し、皮下に埋没している盲目魚で、熱帯魚としてよく飼育されている。体の黒色素も発達せず、体色は桃白色。本種はメキシコに広く分布している魚で、地上性の個体は通常の目をもっており、かつては地下性のメクラウオのみをAnoptichthys jordani学名を与えて区別していた。側線感覚と嗅覚(きゅうかく)がよく発達しており、巧みに障害物を避け、餌(えさ)を捕食する。飼育下での繁殖も容易である。精子水中で長時間活性を保つといわれ、これも環境への適応の一つと考えられている。体長約8センチメートルに成長する。

[多紀保彦]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のメクラウオの言及

【洞窟】より

…したがって,この特異な環境に適応できる動物群はひじょうに限定され,そのすべてが腐食性か肉食性である。代表的なものに,脊椎動物ではホライモリやメクラウオ,昆虫類のメクラチビゴミムシやホラトゲトビムシ,多足類のシロオビヤスデ,甲殻類のムカシエビやメクラヨコエビ,蛛形(ちゆけい)類のメクラツチカニムシやホラヒメグモ,巻貝のミジンツボ,扁形動物のホラアナウズムシなどがある。一般に皮膚が薄く,色素が消失して体色が淡くなり,目が退化してなくなり,昆虫類では羽もなくなっている。…

※「メクラウオ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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