メジロザメ(読み)めじろざめ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「メジロザメ」の意味・わかりやすい解説

メジロザメ
めじろざめ / 目白鮫

軟骨魚綱メジロザメ目の科や属の総称ヤジブカ(メジロザメ属の1種)の別称として使われることもある。メジロザメ科Carcharhinidae(英名requiem sharks)は第1背びれが腹びれより前にあること、尾柄(びへい)部の尾びれ上葉始部に凹窩(おうか)(くぼみ)があること、目が丸いこと、噴水孔がないことなどの特徴をもち、11属よりなる。そのなかには、メジロザメ属CarcharhinusヨシキリザメPrionaceネムリブカTriaenodonヒラガシラRhizoprionodonなどが含まれる。

 メジロザメ属は第1背びれが大きく、その高さが第2背びれの2倍以上あること、第2背びれが臀(しり)びれの下か、それより前から始まること、尾柄側面にキール(隆起線)がないことなどが特徴で、35種ほどが知られている。日本近海からはヤジブカ(メジロザメ)のほかに、ヨゴレ、オオメジロザメC. leucas、クロヘリメジロザメC. brachyurusなど13種が知られている。

[仲谷一宏 2021年10月20日]

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改訂新版 世界大百科事典 「メジロザメ」の意味・わかりやすい解説

メジロザメ (目白鮫)
requiem shark
grey shark

メジロザメ目メジロザメ科メジロザメ属の海産魚の総称。眼が白っぽい瞬膜(しゆんまく)におおわれることに由来した名称。メジロザメ属には100種以上の種の記載があるが,最近整理されて30種が世界に分布することがわかった。日本産魚名リストによれば,日本近海にはハナザメCarcharhinus brevipinnaスミツキザメC.dussumieriクロトガリザメC.falciformisヨゴレザメC.longimanus,ツマグロC.melanopterus,ヤジブカ(メジロザメ)C.plumbeusホウライザメC.sorrahなど15種が分布する。このうち,クロトガリザメ,ヨゴレザメ,ヤジブカはほぼ全世界の暖海に生息し,ハナザメは東部太平洋以外の全世界の暖海に,スミツキザメ,ツマグロ,ホウライザメはインド太平洋域の暖海に分布する。大きさはスミツキザメが1m,ホウライザメが1.5mほどの小型種であるが,残りは2~3mになる。

 典型的なサメ型をしていて,瞬膜をもつこと,上顎歯(じようがくし)の縁辺がのこぎり状であるのが特徴。クロトガリとヨゴレザメの2種は外洋性だが,他は沿岸性もしくは浅海性。卵黄の囊胎盤をもつ胎生で,ヤジブカの例では分娩期は初夏,妊娠期間はほぼ1年。スミツキザメは2尾の胎児しかないが,他は平均5~6尾の胎児をもつ。マグロはえなわや底引網で漁獲され,肉は練製品原料に,ひれはふかひれスープの材料となる。
サメ
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「メジロザメ」の意味・わかりやすい解説

メジロザメ
Carcharhinus plumbeus

メジロザメ目メジロザメ科の海水魚全長 2.5mに達する。頭は幅広く縦扁する。吻は短く,先端は鈍い。尾鰭起部の尾柄上下に凹窩がある。呼吸孔をもたない。眼は小さく,瞬膜がある。体色は灰褐色で特に斑紋をもたない。胎生。本州中部以南,全世界の熱帯・亜熱帯海域に広く分布する。性質は獰猛(どうもう)で,ときに水泳中の人を襲うこともある。肉は上等の練製品にされる。

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